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衝動[完]
第5章 思い
―――…
思ったよりも時間がかかり、祐は内心かなり焦っていた。
階段から落ちた生徒を外科に連れて行き、診察を受け、生徒の親が迎えに来るまでの時間が、恐ろしく長く感じた。
制限速度を無視して学園に着くと、真っ直ぐ弥生の教室へ向かった。
授業中だったが構わない。
ノックをして戸を開ける。
教師がポカンと祐を見つめていた。
祐は教室の中に弥生の姿を探した。
栗色の髪の変わりに、ポツンと一つ空いた席。
「弥生なら帰ったぜ?」
前髪を一束にまとめた、弥生の隣の席の男子生徒がふいに告げた。
「いつ?」
祐が問うと、挑むような目を向け、答えた。
「アンタんとこへ行って来てからすぐだよ。弥生、大丈夫なんじゃなかったのかよ。」
「弥生の家は?何処?」
有無を言わさず聞き出し、そのまま弥生の家に向かった。