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衝動[完]
第5章 思い
呼び鈴を鳴らしても返事が無く、背筋を冷たい物が流れた。
ドアノブに手をかければ、カギがかけられておらず、祐は躊躇う事なく、靴を脱いで上がった。
弥生の姿がそこにあった時、その時の安堵感は言葉では言い表す事が出来ない。
一人になどしたくない。
自分だけを頼って欲しい。
弥生の一番近い存在になりたい―――。
祐は病院へ着くと、待合室で苦しそうに自分の肩に凭れかかる弥生を、しっかりと抱き寄せた。
医師の診察を受け、その場で解熱剤を使い、薬を貰い病院を出る。
幸いただの風邪のようだが、油断は出来ない。
祐は車を停め、後部座席で横になっている弥生に声をかけた。
「弥生、着いたよ。降りられる?」
弥生は頷き、車を降りた。
「せんせ……?ここ……どこ?」
そこは弥生の全く知らない場所だった。