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遠回りしたけど
第2章 再会したくなかった
2年前、最後に会ったあの夏からは
だいぶ背も伸びて、少し髪が長くなっていた。
「・・・大輝」
大輝は教室のドアを閉めると
こちらにゆっくりと歩いてくる。
あの夏の日を思い出して、体が少しだけ震える。
「なお・・・会いたかったよ」
大輝の斜めに分けた前髪から、悲しそうな目が覗く。
教室に残っているのはわたしだけだった。
わたしの背中には
ベランダのひんやりとした温度が伝わってきて、
ここから逃げられないという現実を叩きつけられた気がした。