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Could you walk on the water ?
第20章 盗聴
「言わないで・・・・・・・・・・・・」

「兄貴が教えてくれなかった女としての悦びを、姉さんは堀内に与えられたんだ」

「もう、よして・・・・・・・・・・・」

「俺にはわかってた。堀内に抱かれ始めてから、姉さんの体があいつに開発されていったのが・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「まあ、いいさ。この体が今、俺の手の中にあるんだから・・・・・・・」

「待って・・・・・・、あんっ・・・・・・・・・・・・・・・・」

女が快感に悶える声が僅かに届く。

男は会話を続けた。

「皮肉なもんだ。自分が狙い続けて遂に寝取った人妻に全てを奪われるなんて」

「・・・・・・・・」

「自分が開発した女がいつしかあらゆる欲望に目覚めてしまっていたことに、堀内は最後の瞬間まで気づかなかった」

「・・・・・・・・・」

「自分の命までも狙われてるってね」

男の言葉は、明らかに女を追い込む意図を伴っていた。

沈黙が再び訪れた。

女性は、恐らく、涙を浮かべているのかもしれない。

この音声を聞く誰もがそう想像するような、そんな沈黙だった。

だが、現実はそうでなかった。

沈黙は唐突に破られた。

「ふふっ・・・・・・・」

テープには女がクールに笑う声が確かに収録されていた。

その声は、それを聞く誰もの背中を冷たくさせる類の笑い声だった。
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