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甘いだけの嘘ならいらない
第8章 拒絶の先の融解
「……あいつのためになんか泣くなよ」
「っ、英士く…」
「気づかれてないとでも思ってた?馬鹿だね。俺がどれだけ理紗を想ってるか、全然解ってない」
「……っ…」
「…あの人も困った人だね。理紗は俺のものだって、知ってたのに。俺と婚約してるのを解ってて、本気になるなんてね」
英士くんは冷たく吐き捨てて、指を抜くと、あたしの唇を指で開いて、舌をさしこむ。
英士くんと婚約をしてるのに、あたしは翔を拒めなかった。
好きに、なってしまった。
ずるいのは、わるいのは、あたし。
翔に恋い焦がれるなんてことはあってはならないことだったし、この恋は、知ってはいけない心だった。