この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘いだけの嘘ならいらない
第1章 だから僕はもう戻れない
「理紗?…まだ眠ってるの?」
「ん……起きてる…」
「瞼閉じてるうちは、起きてるって言わないから」
明るい笑い声にゆるやかに押し上げた瞼が柔らかな光を取り込む。
やわらかくてふわふわの琥珀色の髪が額に触れて、きらきらの澄んだ瞳があたしをみつめた。
どちらかといえば可愛らしい、整った容貌をした彼に、真っ直ぐな視線を向けられて、少し低くて凛とした声にどきりとする。
「英士くん…」
まだ醒めきらない頭で、一度名前を呼んだきりずっとみつめていると、困惑したような声が落とされる。
「……どうしたの?」
「あ、ご、ごめんね…っ」
「いや…いいんだけど。見惚れてた?」
ほっぺたを紅くして、ぱっと視線を反らすと、くすりと微笑って、じっとみつめ返してくる彼。
英士くんはあたしの髪を優しく撫でて抱きすくめた。
「まだ寝惚けてるね。昨夜はあんなに大胆だったのに」
「…っ」
「恥ずかしがるその顔も好きだよ」
耳に唇で触れられて、舌が首筋を這う。
きつく吸い上げられて紅く鬱血した痕に、重ねるようにキスが落とされた。