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甘いだけの嘘ならいらない
第2章 カクテルに浸かる透明な嘘
「……歓迎会?」
「そう。転属になった部長の代わりに、新しく本部から配属になった部長と、新入社員ふたりのね」
「そっか。久しぶりに俺ひとりの夕ごはんか…」
家を出る直前、今夜の歓迎会のことを思い出して、英士くんに伝えると、目に見えてしょんぼりと肩を落とした彼に申し訳なくて、思わず視線を伏せる。
ここ数日、仕事が忙しくて記憶から抜け落ちていたけど、先週末の朝礼で歓迎会のことを聞いていたのをふと思い出した。
「ごめんね。週末だし、かなり遅くなると思う…」
「……ん、わかった。でも理紗は弱いんだから、飲みすぎたらダメだよ」
「ありがと。飲みすぎないように気をつけるね」
さみしそうにしゅんとする英士くんをぎゅっと抱きしめて、微笑む。