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誘淫接続
第2章 第十の接続
 この作業がうまくできなければ、分厚く重い不細工な椀になってしまうのだが、隆一は教室に通い始めた初期の段階で簡単にマスターしてしまった。

 すべりをよくするためにたっぷり粘土につけられた水は、表面をヌメヌメと濡らしている。繊細でありながら甲に力強く血管が浮き出ている隆一の手が、まるで愛撫するかのように絶妙な力を粘土に加えていく。

 麻琴は――
 見とれていた。
 ろくろの上で濡れながら回り続ける粘土は、隆一の美しい指に翻弄されるままに――隆一の意のままに悶えさせられ、形を変えられていく――

 麻琴は、自分の柔肌や、突起や、秘部を、自らしたたらせる花弁からの『水』で湿らされ、その指で思うがままにもてあそばれているような感覚になった。
 そして、『身体を作り変えられていく』ことを想像した。
 熱い。
 異物の詰まった花弁のすき間から――その『水』が漏れ出た。

 「変でしょうか?」
 突然の隆一の言葉に、麻琴は我に返った。
 「へ?」
 思わず、すっとんきょうな声が出てしまった。
 麻琴はその恥ずかしさをごまかすように、黒縁眼鏡の真ん中を指で上げた。
 そしてすぐさま落ち着いた口調で言った。
 「いえ、全然。すごく上手だなって」
 「そんなことは……全然納得いかないんですよ、思うように変わってくれないので」
 隆一は麻琴から目をそらせて下を向いた。

 「二人ともお、ついでにいけないことでも考えてんじゃないの? どお? そうでしょお?」
 松戸が粘っこい口調で横やりを入れてくる。
 麻琴は、すました顔で横目でじっと松戸を見た。
 思い切りにらんでやりたい所だが、麻琴にも教室での立場というものがある。
 隆一は相変わらずうつむいたままだ。
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