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誘淫接続
第4章 切断
4.切断


(1)

 麻琴は布団をかぶったままで、ベッドの中でパジャマ姿のままショーツの中に手を入れ、自らのクリトリスを二本の指で激しく回していた。

 外は良い天気のようで、カーテンを閉めたままでも部屋はさほど暗くはない。
 棚の上の置き時計は十時過ぎを指している。
 今日は休暇なので起き上がらなくたって、構わない――。

    ※  ※  ※

 あの後――。
 深夜の公園から走って部屋に帰ってきた後――。
 スマホの電源を切っていたことに気づいた麻琴は、雨に濡れた体を拭くこともせず、慌てて電源を入れチャットアプリを立ち上げた。

 麻琴は『ご主人様』に訴えようとした。
 怖くて仕方がなかったことを――
 誰かが潜んでいてもおかしくはない茂みの中へ入っていった時も――
 放尿の最中にすぐそばを自転車が走って行った時も――
 しかし、それを言い出すことはできなかった。

 『お仕置き』は命令通り実行したことは伝えた。
 『ご主人様』は麻琴をほめた。
 麻琴は、何も『ご主人様』にほめられたくて命令に従っているわけではない。
 自分の意志で、自分を『抗うことのできない絶対的な支配者』の下でもてあそばれるという『虚構』に身を置いて、それによって湧き起こる情欲に身体を沈めたいだけだ。

 怖いなら、やめれば良かったのだ。
 それだけの話だ。
 それを『ご主人様』に必死に訴えたところで、どうしようというのだろう?
 言ったって、仕方がないことではないのか?
 自分が望んで作り上げてきた『虚構』の関係なのだから、麻琴にも非がある。
 だから『ご主人様』に怖かった、と訴えるのは間違っている。
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