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誘淫接続
第6章 強制接続
 「ふふ、水野さんを困らせたいんです、興奮するから……!」
 翠の声色が急に変わった。
 麻琴の知っている『田村翠』の話し方だ。
 目もいつもの半開きに戻っている。
 麻琴の頭はまた混乱した。
 スイッチが切り替わったかのように、オンかオフかの二種類しかないかのように、翠は突然『翠』になった。
 だが、言ってる内容は『ご主人様』としての立ち位置のままだ。
 つまり二重人格というわけではないということか。
 『ご主人様』は最初から翠であって、翠は今でも『ご主人様』なのだ。

 「ああ……水野さんのその困った顔、ゾクゾクしますっ……! もっと困った顔してくださいよぅぅぅ……!」
 翠の声は、いつしか発情した牝のそれになっていた。
 声が、濡れている。
 翠の息づかいが荒く艶めかしいものに変わり、スピーカーを通して麻琴の耳に流れ込んでくる。

 麻琴の脳裏に、トイレで翠の指で責められた時の彼女の息づかいがよみがえった。そして何かが、麻琴の下腹の奥の芯をキュッ……とつまんだ。
 貞操帯の責め具は止まっているのに。
 「んあ……」
 ――うそ……
 ――うそうそうそ……
 ――こんな感覚……

 「あん、それ惜しいですぅぅぅううぅ、足りないんですうっ……! もっとイジめないとイイ顔にならないのぉ……!?」
 翠は上気した顔で、粘っこくまとわりつくような声を出す。
 「……お願い……もう……今日で終わりにして……!」
 「いいから黙ってろ! 今興奮してんだから!」
 唐突に翠の口調が『ご主人様』に切り替わる。
 麻琴はまた混乱して言葉が続かなくなる。
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