この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
唇に媚薬
第1章 理想と現実
「わ、私……葵のこと好きよ。
友人として、ほんと好き」
「…………」
「でも、あなたと恋愛はできないわ。
葵を……そんな風には見れない」
再び雨が激しくなってきた。
葵に話す隙を与えないように、私は捲し立てるように喋り続ける。
どうして私はこんなに動揺してるの?
どうして葵は落ち着いていられるの?
からかっただけ?
たった数秒のキスで、心がかき乱させる。
「葵と違う人と、出逢いたいの」
そこまで話した所で、ハッと我に返った。
私に傘を傾けてるせいで、コートに水滴が光っていて
……葵は、切なそうに笑った。
「分かってるよ、蘭」
「…………っ」
「………分かってる」