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唇に媚薬
第8章 嫉妬姫
「……萎えた」
私の隣りで、葵がボソッと呟く。
「ガキを連れ出して酒飲むって、どんなバカ親だよ」
「……でも、私達人のこと言えない、よね……」
「…………」
「あの子、トラウマにならなきゃいいんだけど……」
ここまでの自分を殴りたい。
スリルあるシチュエーションとはいえ、シラフで酔えるって相当だよ。
……てゆーか
葵は萎えたって言うけど
こっちはまだ体が火照って……
「蘭、行き先変更」
「………!」
葵の手が私の肩に回って
そのまま引きずられるように歩かされる。
「へ、変更……!?」
「ワインバーはまた今度連れてってやるから。
俺のマンション直行」
「………!」
「こんな後味悪ぃ終わり方があるか。
つーか終わってねぇし」
「………っ」
角を曲がって、エレベーターのボタンを押して
クールな表情・痺れる熱視線。
……完全に、いつもの葵。
「この体、壊すから」
「~~~っ///」
「そのつもりで、よろしく」
……私の嫉妬が、まさかこんなことになるとは……
目を回す私を見て、葵は余裕の笑みを浮かべた。