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唇に媚薬
第9章 ヤキモチ王子
* * *
「……瀬名。
お前は、鈍感レベルを超えて
むしろ “ 残念な男 ” なのかもな」
認証キーで解除されたフロア出口の扉を抜けて
エントランス行きのエレベーターの前まで来ると、蓮が何度目かの溜息を漏らした。
……つーか、わざわざ言われなくても
「……分かってるっつーの。
だからさっき必死で失態を取り消そうと……」
「そうじゃなくて。
……まぁ、ここまでくると佐伯も佐伯だけど」
「……?」
「お互いの歯車が変に噛み合ってるから、抜け出せないんだ。
瀬名がちゃんと言ってやれば……」
そこまで言って、蓮は一旦黙ると
思い直したように首を振った。
「……違うか、だからこそ成り立ってるのかな。
瀬名も佐伯も、本来の仕事に対しての意識と信頼は固いし」
「………」
「余計なお世話なのは、俺か」