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唇に媚薬
第9章 ヤキモチ王子
「さ、先に仕事片付けるって言ってたよね?」
「………」
「冷蔵庫に入れておくね」
……変えた理由は
蓮に逢うのを見越してたから。
逃げるように、パタパタとキッチンへ走り去っていく蘭を見て
そんな馬鹿馬鹿しい想像までする始末。
……明日の朝、ここを出たら
3週間もの間、あの姿を見ることも、触れることもできない。
残り少ない時間、そのリミットまで
俺のものだって意識を、どうしたらもっとあいつの心に深く植え付けられる?
狂い落ちそうな程恋焦がれて、求めるこの想いを
どれだけ吐き出せば、あの愛しい体に刻みつけられる?
って俺
完全に危ねぇ……
「………」
一度寝室に行って、再びリビングに戻った。
壁のスイッチを押して、部屋の照明を落とす。
「……葵?」
夜景が、その横顔を照らして
振り返った蘭の方へ、俺は足を進めた。