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唇に媚薬
第10章 狂う程、夢中

「……蘭」


引き締まった腕に包まれたまま、顔を上げさせられて
葵は私の頬にキスを落とした。


「…ん…っ は……」


すぐに唇に移動して、ぬるりと舌が入ってくる。
角度を変えて、何度も何度も
体ごと浮きそうなくらい、強く吸われる。


「…あ、んん、……んっ!」

「……蘭」

「は、……っ、ん、ん……」


キスの合間に、名前を呼ばれるのが堪らなく好き。

背伸びしないと、届かないから
その頬を引き寄せて、さらに深い口づけを交わして

……あぁ、甘く痺れる。
気持ち良すぎておかしくなっちゃう。


キッチンまで、僅かに届く夜景の明かり。
照らされた葵は、うっとりするほど美しい。

ほのかに香るオードトワレに
ゾクゾクする甘い吐息

……体というより、脳が溶けてしまう。

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