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唇に媚薬
第11章 純真なカノジョ
嫌味を言い放った姫宮さんを、じっと睨みつける。
ツーブロックの茶髪、整った鼻筋、シャープな輪郭。
髪型から服までオッシャレ~な彼は、まさにこのアパレル業界に相応しい。
見た目のタイプは違うけど
この言葉遣いの悪さといい、ぶっきらぼうな口調といい
……若干、葵に似てるのよね。
「なにガンつけてんの」
既に敬語は取っ払われた。
横目でチラッと見られて、その口元が笑っている。
「……珍しいですね、姫宮さんが私のことを聞いてくるの」
「ん? どーいう意味?」
「普段、他人に関して全然興味無いじゃないですか」
「はは、そんなことねぇよ」
デスクに肘をつけて、じっと私を見返して
……って男のくせに、私よりまつ毛長いんですけど。
「 “ 平凡な幸せ ” をディスってた蘭ちゃんが
近頃、幸せですオーラ全開なもんだから」
「………!」
「相当興味ある」
刈り上げたサイドの髪の下で、ピアスがキラリと光った。
「異国のプリンスにでも出逢った?」