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唇に媚薬
第11章 純真なカノジョ
「………」
体がバックンバックン波打って、軽い息苦しささえ感じながら
私はゆっくりと後ろへ振り返った。
「……な、なんでしょうか……」
「………」
これまた恐る恐る聞いてみると
栗色の巻き髪をふわっとなびかせて、彼女が階段を降りはじめた。
フラットなバレエパンプスから、ヒール音はしないはずなのに
距離が近付いてくる度に、警告音が聞こえて……
……って、落ち着け私!
「ごめんなさい、突然呼び止めてしまって……」
私のすぐ目の前に立つと、彼女はペコッと頭を下げた。
……並んで分かる、華奢な体。
男の腕の中に、すっぽりと包み隠せてしまう程小さい。
「………っ」
って、なんでそんなこと考えるの?
勝手に妄想して、勝手に傷付いて
誰にでも勝気なはずの私が
既に心臓ズキズキしちゃってるんですけど……