この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
唇に媚薬
第11章 純真なカノジョ
……って
本音は違うんだからね!
私は葵の彼女だって、声を大にして言いたいんだからね!
「………」
「……?」
心の叫びを抑えて、微笑みながら言ったのに
さっきまで真っ赤だった彼女の表情が、明らかに歪んでいる。
……ん?
な、んかマズいこと言った?
「……あの?」
「……そう」
「え?」
別人のように低くなった声。
よく見ると、その小さな肩が震えている。
……ドキッとして
伏せたその顔を覗きこもうとすると……
「瀬名さんが、可哀想」
「………!」
「あんなに嬉しそうだったのに……」
……な、に言ってるの……?
途端に変化した不穏な空気。
ドクドクと鼓動が早くなってくる。
「……さっきの話、瀬名さんは知っているのでしょうか?」