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唇に媚薬
第12章 相棒流儀

……真っ直ぐな想いに、ずっと気付かなかったのに

こんな私を、葵は好きになってくれて
想い続けてくれた。
いつも、傍にいてくれた。


“ 蘭は、そのままでいいんだよ ”

“ お前らしく生きていけばいい。
……だから、その隣りにいさせて ”


……あぁ、そうか

葵は、私を愛してくれているんだ……



「な? 単純明快だろ?」


ふわふわの茶髪の、頭の後ろで両手を組んで
姫宮さんは満足そうに白い歯を見せた。


「色々説教じみたこと言ったけど
つまりそーいうこと」

「………!」

「離れてると、余計に見失うんだよな。
大事なことって目に見えねぇから、不安になるのは仕方ないけど」

「………っ」

「……心配すんな。
お前、ちゃんといい女だから」



心臓が破裂しそうで
涙が溢れる寸前で、もう何も言えない私に



「つーか、仕事の相棒に向かって
堂々とノロケてんじゃねーよ」



言わせた張本人が、優しく微笑んだ。


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