この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
唇に媚薬
第12章 相棒流儀
……体の奥の、1番深いところへ
姫宮さんの言葉が、響き渡るように届いて
胸がいっぱいで、なんだかちょっと苦しい。
「………っ」
疑いや憶測ばかりを、並べる前に
余計なことで悩んで、落ち込む前に
もっと、シンプルに考えたら……
「……彼と彼女は、仕事のパートナー……」
「違う」
「……!」
「違うよ、早坂」
手を下ろした彼が、真っ直ぐ私を見つめた。
吸い込まれそうな瞳。
心に灯がともったみたいに、じんわりと温かくなる。
「……佐伯さんが葵を好きでも、葵は……」
「違う」
「わ、私は、葵の彼女で……」
「惜しいな」
「……葵が、好、き」
「………」
「私、葵が愛おしくて、大好きで……」
「あぁ、それで?」
“ ずっと蘭のことが好きだった ”
“ 蘭の存在が、俺の生きる意味になってる ”
「………っ」
“ ……愛してるよ ”
「……葵は、私のことが好き……」