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唇に媚薬
第12章 相棒流儀

……体の奥の、1番深いところへ

姫宮さんの言葉が、響き渡るように届いて
胸がいっぱいで、なんだかちょっと苦しい。


「………っ」


疑いや憶測ばかりを、並べる前に
余計なことで悩んで、落ち込む前に

もっと、シンプルに考えたら……


「……彼と彼女は、仕事のパートナー……」

「違う」

「……!」

「違うよ、早坂」


手を下ろした彼が、真っ直ぐ私を見つめた。

吸い込まれそうな瞳。
心に灯がともったみたいに、じんわりと温かくなる。


「……佐伯さんが葵を好きでも、葵は……」

「違う」

「わ、私は、葵の彼女で……」

「惜しいな」

「……葵が、好、き」

「………」

「私、葵が愛おしくて、大好きで……」

「あぁ、それで?」



“ ずっと蘭のことが好きだった ”

“ 蘭の存在が、俺の生きる意味になってる ”



「………っ」



“ ……愛してるよ ”



「……葵は、私のことが好き……」


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