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唇に媚薬
第13章 同じキモチ
ベッドが軋む音が聞こえたから、葵は体を起こしたようだ。
『蘭?』
……あった、よ。
あなたのアシスタントと、偶然会って
あなたのことがどうしようもなく好きだって、聞かされた。
……だけど……
「……葵……」
『もしかして、寂しくなった?』
「………!」
ドクンと心臓が鳴ったけど
『って、んなわけねぇか』
「………」
『まだ1日しか経ってねぇもんな』
私が答える前に、葵はケロリと自らを否定した。
……そうだよ。
離れてから、まだ1日しか経ってない。
いつもだったら、ムキになって言い返すか
平然を装って受け流すんだけど
“ 大事なことは何なのか
シンプルに考えれば、ちゃんと分かるだろ? ”
……今夜は……
「……寂しいわ」
引き出された心の声を、そのまま伝える。
「キャラじゃないし、迷惑だって分かってたけど
寂しくて連絡してしまいました」
『………!』
「……ありがと。
葵の声、聞きたかったの」