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唇に媚薬
第13章 同じキモチ
……寂しくて、でも声が聞けて嬉しくて
だから余計に、逢いたくなってきてしまった。
想いを口にした瞬間に、強くそう感じてしまった。
『……なに、急に』
少し沈黙してから
明らかに動揺した声が返ってくる。
『酔ってんの?』
「……多少。 でも嘘じゃないよ」
『……!』
「だって、逢いたくて……」
駄目だ、既に目の奥が熱い。
さっきから私の目の前を、恋人達が手を繋いで通り過ぎていくから
幸せそうに並んで歩く姿を見てるだけで、さらに胸が苦しくなってる。
って、私バカなの?
つい2日前、同じように一緒に帰ったばかりじゃない。
……やっぱり、葵の言う通り酔ってるのかも。
『……蘭』
「ごめん、葵」
慌ててその声を遮る。
やばい、姫宮さんの助言を忘れるところだった。
「今のは戯言は忘れ……」
『待て、それ以上はやめろ』
「………!」
『……言うなよ。
届かねぇのに、抱きしめたくなるから……』