この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
唇に媚薬
第13章 同じキモチ
「………!!」
え!?
な、なに!?
最後なんて言ったの!?
「あ、葵、待っ……!」
既に電話は切られていて、不通音だけが鳴っている。
慌てて耳から外して、急いでインターネットを開いた。
画面は、シアトルの時差が表示したままだ。
お、オンリーユーって言ったよ、ね!?///
オンリーユーアー……なんとか……
「ほ、翻訳……!!」
葵の声をもう一度思い出して、検索欄にカタカナを入力していくと
予測変換で、ひとつの英文フレーズがヒットした。
……その、和訳は
「………っ」
Only you are seen
─── あなたしか見えない
「……葵……っ」
破裂寸前だった想いが、一気に爆発して
崩壊寸前だった涙腺から、大粒の涙が零れる。
……たった一言だけなのに
こんなにも、周りに人がいるのに
私は恋する乙女のように、人目もはばからずに泣いてしまった。