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唇に媚薬
第14章 涙の先に
「……同じなわけがないんだ」
「……えっ?」
「蘭と俺の気持ちは、同じじゃない」
予想外だったのか、蓮と佐伯が同時に俺を見る。
「確実に、俺の方が蘭を想っているからな」
「「………!」」
「寄り添いたいという願いも、あいつを求める欲望も
……蘭への想いは、他の誰よりも強いんだよ」
言うまでもねぇ。
わざわざ言葉にしなくても、心が感じている。
……蘭にも告げた通り
俺にとって、あいつは生きる意味にさえなっているんだ。
「両親が死んで、親戚にも見捨てられた俺を
あいつは何度も救ってくれた」
「………!!」
「本人にその意識は全くねぇけどな」
自伝にしたら売れるんじゃねぇかってくらいの半生を
初めて聞いた佐伯だけが、大きく目を見開く。
……今更、過去を語る気はない。
見据える先は、未来だけ。
「誰が何を言おうと、俺はあいつだけを見てる。
……この先も、ずっと」
自棄になって、学生時代はかなり適当に生きてたけど
……辿り着いたのは
蘭を愛するという、この揺るぎない想いだけだ。