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唇に媚薬
第14章 涙の先に

……つーか
いらねぇことまで喋っちまったじゃねぇか。


「……で、今のがどう関係してくるわけ?」


シンと静まり返った空気と、話の主旨を元に戻すべく
そう問いかけた……

そのタイミングで携帯が振動した。


「………!」


差出人は、蘭。
新着メールが画面に表示される。


“ 葵、お帰り。
いつもの汐留のBARに、8時に待ち合わせね。
早く帰ってきてくれたから、私が奢ってあげる♪ ”


……思わず、口元が緩む気がして
両側にいる2人に悟られないように、静かにポケットへと携帯を戻した。


あと、1時間で蘭に逢える。

……やべぇな。
なんでこんなに浮つくんだよ俺。

夕陽が沈んで、光り始めた外の電飾と
自分の心が連動しているような気分で、妙に落ち着かない。


と、その時


「……瀬名さん」


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