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唇に媚薬
第14章 涙の先に

……今までも、何度も繰り返し感じているけど
結局俺はこいつに助けられてばかりだな。

テーブルから離れる蓮に続いて、立ち上がる。


「……蓮、サン…」

「瀬名、さっきの話だけど」


……おい、かぶせんじゃねぇよ。

せっかく感謝の言葉を言い掛けたというのに
そんなレアな俺に気付かず、蓮はエレベーターに向かって歩き始めた。

小さく舌打ちをして、仕方なく付いていく。


「俺は一緒だと思うよ」

「は?」

「お前と、彼女の想い」

「………!」


その言葉で、思わず足を止めると
螺旋階段の手前で、蓮がゆっくりと振り返った。


「心も体も救ってくれた、お前にとって何よりも大切な人。
……きっと、彼女も
瀬名と同じように、瀬名のことを強く想ってる」

「………っ」

「会社のエントランスで、2人の後ろ姿を見送った時
素直にそう感じたんだ」


……その顔に、優しさが宿る。


「お前、すっげーいい男だから。
間違いないよ」

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