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唇に媚薬
第15章 Yours forever
「あ、見て」
広場を半分通り過ぎた所で、どこからか音楽が聞こえてきて
左側に足を進めると、開放された野外ステージが見えてきた。
「わー、生演奏♪」
「……いつも何かしらやってるぜ」
「そうなんだ、素敵♡」
サックス、キーボード、ベース、ドラム。
ボーカルのいない小さなjazzバンドのようだ。
ぐるっと囲まれたスタンド席。
平日の夜だからか、前の方に数人のお客さんがいるだけだ。
最小限に落とされた屋外照明で、幻想的な雰囲気が漂う。
「………」
一番後ろの席から、離れた位置に立って
その優しいメロディに聞き惚れていると
「……蘭」
頭の後ろから、低い声が響いて
「………!」
葵の右腕が、ふわっと私の前に回って
後ろから片手でそっと抱きしめられた。