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唇に媚薬
第16章 唇に媚薬

「……あのなぁ」


段々とヒートアップする私と対象的に
落ち着きを取り戻した葵が、体を起こして溜息を漏らした。


「なんでお前はそう、妄想で暴走して勝手にキレるわけ?」

「妄想だって言いきれるの!?」

「当たり前だろボケ」

「浮気不倫は当たり前じゃないの!?」

「んなアホ共と一緒にするんじゃねぇよ」


腰に腕を回して、引き寄せられて
ベッドの上にあぐらをかいた、葵の足の上に乗せられた。


「お前と同じで
俺も、蘭のことが一生好きだから」

「………!」

「浮気する理由が無い」


……ド至近距離でキッパリ言われて
真剣な瞳で見つめられて

きゅーーーんと胸が鳴る。


……ごめんなさい。
私の負けです。

今の一言で愛が満タンです。


「しょーもねぇこと調べるな」

「……うん」

「そんなヒマがあるならゼ○シィでも見とけ」

「………!」

「国内でも海外でも、お前の好きなとこでいいから。
なんでも叶えてやる」



……もう、ノックアウトです。

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