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唇に媚薬
第4章 添い寝と腕枕
「葵、着いたよ」
「………!」
「ほら、早く起きて起きて」
この声は、間違いなく蘭。
窓の外は、いつもの見慣れた景色。
だけどしばらく放心して動けなかった。
「いい加減夢から戻ってきてよ。
すみませーん、降りますー!」
グイグイ引っ張られながら、バスのステップを下る。
……夢?
あぁ、またぶっ飛んでたか。
たまにどうやって帰ってきたか分からない時がある。
だけど、今回は
何の風の吹きまわしか、蘭が迎えに行くと言ったから
会社に寄らなくてもいいように、機内で全部終わらせようと……
……あ?
「~~~~!!」
「……きゃっ!」
バシッと、振り払うようにして
繋がっていた左手を挙げた。
と、同時に
右手に持っていた鞄が、ゴトッとアスファルトの上に落ちる。
「……あ、葵……?」
……な…にしてるんだ、俺。
今、蘭の手を……