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唇に媚薬
第4章 添い寝と腕枕
マンションのエントランスへ早足で進む蘭。
こんな時間に、まさか酔ってるとは思えねぇけど

……落ち着け。
何かの間違えだ。

“ ベッドに入って寝よう ”

……ありえねぇ。


「……っ 蘭……!」


自動ドアを抜ける直前で、その細い腕を掴む。
振り返った長いまつ毛の下から、大きな瞳が俺を見上げた。


「……いいから、帰れよ」

「………!」

「お前休みだろ。
貴重な週末、無駄にするな」


蘭と向かい合って、腕から手を離す。


「俺、何か言ったんだよな?
……って、記憶ねぇんだけど……」

「………」


話してる俺を、じっと見つめる蘭。
……マジで、俺何やらかしたんだ?

さっきまでの笑顔が無いことに、動揺して自ら視線を外す。
早く解放させねぇと……


「付き合わせて悪かった。
改札まで送るから……」

「キスした理由を聞きに来たのよ」

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