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唇に媚薬
第5章 攻防ゲーム
半分怒ってる。
信じらんねぇって目をしてる。
「……悪魔」
「おでこに、して?」
「お前、起きたら覚えてろよ」
うんって頷こうとした顎を持ち上げられて
葵の唇が、私の額に口付けした。
……優しい、キス。
耳を撫でられながら、いたわるように頬にもしてくれる。
包まれてる。
あったかい。
「……蘭」
暫く続いたキスの雨が止んで
私の頭を左腕に乗せて、葵は目を瞑った。
「すっげー、抱きたい」
「………!」
「……けど、眠みぃ……」
分かる。
私の心も壊れたようにドキドキしていて
だけどこの温もりが、どうしようもなく心地良い。
こんな気持ち、初めてだ。
「……葵」
「…ん…」
「私もね、葵が好きみたい」
「………!」
「不思議だけど、貴方のことが好き」
まぶたが重くなってきて、私も瞳を閉じると
「……あとで、もう一回聞かせて」
薄れる意識の中で、葵の声が響いた。