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翻弄の果てに
第9章 環と祥子
静かな夕食だった。

それぞれに、それぞれの思いや困惑を胸に秘め、ただ目の前にある物を、口に運んでいる。



膳が片付けられ、部屋には布団が敷かれた。


オーシャンビューの大きな窓、その景色はキラキラと夜の波を光らせていた。


並ぶ様に、ソファーに腰を下ろすと、環は話し始めた‐‐‐‐‐‐‐‐‐






長い長い夜だった……

環と祥子は、夜の海を眺めながら、互いの顔を見ることは無かった。

時々、祥子が遠慮気味に環を「チラリ」と見るくらい……



全て話し終わる頃は、もう、夜が白々と明けようとしていた。


『悠太をお願いします、祥子さん。』

祥子を見ること無く、環は祥子の手を握りしめた。




これが、環の最期の言葉になるとは…………



祥子が湯に入っている間に、環は姿を消した。祥子と悠太宛ての手紙を残して……………



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