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第4章 穏やかな日々

『姉さん…見合いすんのか？』

『しようと思うわ…』

『また、我慢するのか？また、男を泣かせるのか？』

『えっ？』

『姉さんは気付いてないかもしれないけど、一番不幸なことは、我慢する姉さんの生活じゃなく、偽り…いや、愛のない結婚をさせられた男の人生じゃないか？』

悠太は続けた。

『愛し合っていると信じた男は、姉さんの勝手な言い分に操られ、一生懸命家庭を守ろうと働くんだよ。姉さんは偽善者だよ。偽善者になって、結局男を傷つける。それでいいのか？本当に。』

『悠ちゃん…私を困らせないで……』



環だって判ってる。
悠太のことを思えば、悠太の将来の為になら、結婚相手を、死ぬまで欺くことだっていとわない。

環は、それほど悠太を愛している。

そう、愛してる…｢２つの愛｣が、環の中に渦巻いているのだ。