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蜜恋~お義父さんとは呼べなくて~④牡丹の花の咲く頃には
第20章 飛翔する鳥
ソンはゆるゆると首を振る。
「私が求めるものは、あの月のように焦がれれば焦がれるほどに遠のいてゆくんだ。私を生んで下さった母上は病弱で、いつも床に伏していたから、幼い頃に母に抱かれた想い出もない。内に強さを秘めた女性ではあったけれど、私を腕に抱くこともできないほど弱っていた。それゆえ、滅多に逢うことも許されなかったしね」
ソンは小さな息を吐き、一旦、言葉を切った。ひとしきり円い月を眺めてから話し始める。
「私が求めるものは、あの月のように焦がれれば焦がれるほどに遠のいてゆくんだ。私を生んで下さった母上は病弱で、いつも床に伏していたから、幼い頃に母に抱かれた想い出もない。内に強さを秘めた女性ではあったけれど、私を腕に抱くこともできないほど弱っていた。それゆえ、滅多に逢うことも許されなかったしね」
ソンは小さな息を吐き、一旦、言葉を切った。ひとしきり円い月を眺めてから話し始める。