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蜜恋~お義父さんとは呼べなくて~④牡丹の花の咲く頃には
第20章 飛翔する鳥
「子どもの頃、私はいつも今宵のように空を見上げていた。空を見ていると、不思議に泣けてきたよ。だが、私には今でも判らない。夜、月を見て泣いていた時、幼い私自身が泣いていたのか、それとも月が肉親の縁(えにし)に薄い孤独な私を憐れんで泣いていたのか」
ソンはこの下りを語りながら、前の虚空をじっと見つめている。無感情な口ぶりは他人の人生を語っているかのようだ。だが、前で緩く組み合わされた両手には、きりきりと力が込められていた。
ソンはこの下りを語りながら、前の虚空をじっと見つめている。無感情な口ぶりは他人の人生を語っているかのようだ。だが、前で緩く組み合わされた両手には、きりきりと力が込められていた。