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蜜恋~お義父さんとは呼べなくて~④牡丹の花の咲く頃には
第24章 祖父の願い
 ふと冷たいものが頬に触れ、キョンシルは空を仰いだ。鈍色の雲が漢陽の町の上に低く垂れ込めている。その雲間から白い花びらがひらひらと舞い降りていた。
「―雪(ソル)」
 キョンシルは呟き、そっと手のひらをかざす。漢陽の冬は長く厳しい。雪もよく降った。
 さらさらとした粒子の細やかな雪は手のひらの上で忽ちにして儚く消える。
 キョンシルは最後に見た祖父の顔を思い出した。キョンシルに向かって〝済まない〟と頭を下げた祖父。
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