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蜜恋~お義父さんとは呼べなくて~④牡丹の花の咲く頃には
第24章 祖父の願い
トスが表まで見送りに出てきた。扉が閉まる直前、まなざしとまなざしが切なく交わる。別離を惜しむ暇も与えられず、輿の戸が閉まった。
キョンシルの乗った輿が夜陰の中を次第に遠ざかってゆく。トスはその場に立ち尽くして見送りながら、深い息をついた。
家の前に野生の椿が一本、ひょろ長く伸びている。どこからか種が飛んできたものか、蒼い月明かりを浴び、一輪だけ咲いた花が紅く濡れたような艶やかな色を際立たせていた。