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蜜恋~お義父さんとは呼べなくて~④牡丹の花の咲く頃には
第24章 祖父の願い
ふと足許に咲く椿の鮮烈な色が血を思わせ、トスは慌てて首を振った。天下の崔イルチェと謳われた、先代の王の腹心にして、漢陽でもその名を知らぬ者はない名門崔氏の当主。今、真っ赤に燃える巨大な太陽が空を血の色に焦がしながら、墜ちてゆこうとしているのかもしれなかった。
―イルチェさまに何事もなければ良いが。
更に愛する少女の無事をも祈りながら、トスは真夜中の寒さなど感じないかのようにその場に佇んでいた。