この作品は18歳未満閲覧禁止です
蜜恋~お義父さんとは呼べなくて~④牡丹の花の咲く頃には
第25章 再会
「お祖父さま、私には慕う方がいるのです」
イルチェの眼が一、二度、またたいた。何かをしきりに思い出そうとするかのような眼でしばらく天井を睨み据えていたかと思うと、視線をキョンシルに向ける。
「それは、もしやあの若者か? そなたと一緒に暮らしているとかいう男、確かトスといったか」
どうやらイルチェはトスを憶えているようであった。流石に篤い病の床にあっても、かつての頭脳明晰さは衰えてはいないらしい。