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蜜恋~お義父さんとは呼べなくて~④牡丹の花の咲く頃には
第4章 旅立ち
どうも、互いに無意識の仕草だったようだ。二人ともに現に戻った今、嫌が上にも先刻、二人の間で繰り広げられた扇情的な瞬間を意識せずにはいられない。
トスは狼狽えたように手のひらをすり合わせ、組んで握りしめた。かすかに強ばった面の底に、いつにない感情の揺れがほの見えていた。こんなトスは珍しい。母の死のときでさえ、これほど感情を波立てはしなかった。
いや、心は絶望と哀しみに揺れていたに相違ないが、少なくとも表には現れなかった。
トスは狼狽えたように手のひらをすり合わせ、組んで握りしめた。かすかに強ばった面の底に、いつにない感情の揺れがほの見えていた。こんなトスは珍しい。母の死のときでさえ、これほど感情を波立てはしなかった。
いや、心は絶望と哀しみに揺れていたに相違ないが、少なくとも表には現れなかった。