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蜜恋~お義父さんとは呼べなくて~④牡丹の花の咲く頃には
第26章 花びら占い
あの日―キョンシルが馬執事の弟だと名乗る若い男に連れ出された日、トスは夕刻になって勤め先の絹店から帰宅した。
冬の陽が落ちるのは早い。いつもなら家から明かりが洩れているのに、その日に限って真っ暗だった。訝しく思いながら家の中に入っても、やはり誰もいない。
しかし、そのときはまだ、トスも異変が起こっているのだとは考えなかった。どこか近くまで買い物にでも出かけているのだろうとくらいにしか思わなかった。