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蜜恋~お義父さんとは呼べなくて~④牡丹の花の咲く頃には
第15章 心のありか
キョンシルは深々と頭を下げた。今度こそ背を向けて歩き始める。背中にはまだウォンジュンの視線を感じていたけれど、敢えて振り向かなかった。
李家の屋敷を出たキョンシルが次に目指したのは海辺―浜木綿が群れ咲くお気に入りの場所であった。一度離れてしまえば、もう二度と、この海辺の町に来ることはないだろう。ならば、ひとめ、あの場所を見ておきたい。大好きな男と過ごした大好きな場所を記憶にとどめておきたい。