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ピンクの扉
第13章 再び東京
艶かしい喘ぎ声に、
リビングに座っていた智一と部下の亜利砂は
固まってしまった。
「今の声は?…」
智一はイヤな予感がした。
玄関に脱ぎ捨ててあった娘の由佳のブーツと
男物のスニーカー…
リビングに由佳はいない…
「二階から聞こえたようですけど…」
亜里砂の言葉にどうやらさっきの声が
現実であることを知らされた。
『由佳の部屋か…』
娘の年頃であれば
セックスを覚えても不思議ではない。
桃子と智一も初体験をしたのが
学生時代だったから
若い性の目覚めは自然の摂理だろうが…
それにしてもあの絶叫のような喘ぎ声は
親としては気になって仕方ない。
もしかして由佳がイヤがっているのに
男が強要したとか…
亜里砂が不粋だからやめなさいよと
制止する言葉に背き、
智一は二階の部屋を覗くことにした。
亜里砂とて不粋だからやめろと言ったものの、
興味がないわけではないので
智一の後について二階へむかった。
恐る恐る由佳の部屋を覗いたがもぬけの殻だった。
背後の亜里砂が「こっちの部屋から話し声が…」と
ヒソヒソ声で教えてくれた。
その部屋は自分たちの寝室だった。
『まさか、私たちの部屋で?』