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ピンクの扉
第10章 旅は道連れ

タクシードライバーが紹介してくれたホテルは
ビジネスホテルでチープさを
全面に押し出していました。

宿泊するには少し抵抗がありましたが、
タクシー運賃をタダにしてくれた上に
このホテル代まで先払いで支払ってくれたので
文句は言えませんでした。

あ、でもその分、
2発も抜いてあげたのだからお互い様かしら…。


宿泊名簿に名前を書き込む時に

『ああ、この姓を名乗るのもこれが最後かしら』

なんて思ってしまいました。
そう、私の頭の中には
離婚の二文字が浮かんでたのです。


部屋に入ってベッドの上に寝転ぶと、
夫の部屋から出て来た女の顔が浮かんできました。

『若い女だったわ…
スタイルも良さそうだったし、
主人ったらあんな女が好みだったのね…』

札幌への単身赴任が決まった時から
すすき野で遊びたいと言っていたけど、
ソープでの遊びなら
いくらしてくれてもかまわないわ…

でも、女を部屋に入れるのはダメ…

そこは妻である自分の領域だもの…


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