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ピンクの扉
第10章 旅は道連れ
「うるさいわね!!」
気づけば私は怒鳴りつけながら
壁をドンドンと叩いていました。
途端に静寂が訪れ、
隣の部屋のドアがバタンと開く音が…
『あら、気まずくなって
女が出ていったのかしら…』
そう思っていると『コンコン…』と
私の部屋のドアをノックする音がしました。
「すいません、隣の部屋の者ですが…
テレビの音、うるさかったですか?」
『えっ?やだ…テレビだったの?
そっかアダルトチャンネルだったのね…』
私は顔から火が出るほど
恥ずかしい思いをしました。
それと共に、怒鳴りつけてしまったことを
一言詫びなければと思いました。
「こちらこそすいませんでした…
テレビと知らずに私ったら…」
ドアを開けて詫びながら
相手の顔を見て私は飛び上がりました。
「あれっ?君は高速バスでご一緒した…」
相手の男性も私の顔を覚えていてくれました。
そう、空港から札幌まで
高速バスで隣に座った彼だったのです。
「こちらにお泊まりだったんですか?」
自然とそんな言葉が出てしまいました。
「ええ、まあ。
低所得の素人カメラマンなので
宿泊費はなるべく安くあげないと
長く滞在できないもので…」
頭をポリポリと掻きながら
少し顔を紅潮させて彼は答えました。