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want to be ...
第8章 葛藤
全部全部…蒼汰さんのための努力。
かっこよくて魅力的な蒼汰さんに釣り合うように、毎日地道に重ねた努力の暁が…今のあたし。
「杏奈、綺麗なったな」
「杏奈痩せた?お前ただでさえ細いんだから
あんまり頑張りすぎんなよ」
蒼汰さんは気付いてたけど。
まだ膨らみが感じられないお腹。
そっと一撫でしてシャワーのコックを捻る。
飛び出した温かいお湯を頭から浴びた。
ぼさぼさな髪は水分を含み、身体を濡らして排水溝に吸い込まれていくお湯。
再び流れた涙を、お湯と共に流した。
よし…準備完了。
完全防備し、マスクをして部屋を出る。
駅まで歩いて薬局に入り、とある箱を探した。
…あった。
案外早く見つかったそれを一箱手に取り、会計のおばちゃんに渡す。
会計を終えて、紙袋に入れられたそれをカバンにしまい、薬局をあとにする。
シャワーに打たれながら、考えてた。
まだ、確定した訳じゃないんだ。
生理、ただ遅れてるだけかもしれない。
ただあたしの身体が都合悪いからってだけかもしれない。
だけど…
もし、妊娠してたら。
覚悟は出来てる…あたし1人で育てよう。