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want to be ...
第8章 葛藤
「ははっ…冗談だよ、冗談。
新しい部屋行ったらお前のこと俺好みに
料理し尽くしてやるから覚悟しとけよ?」
「うん、楽しみにしてる…」
相変わらずいちゃいちゃべちゃべちゃしてる2人を冷めた目で見て扉を閉めようとすると、優奈ちゃんに慌てて止められた。
「待って、杏奈ちゃん!
あの、これ…杏奈ちゃんの大好きなケーキ屋さんの
チーズケーキ…買い占めてきたの。
あと、これ。これから必要になると思うから。
こんなのがお礼なんてちっぽけなんだけど
受け取ってくれると嬉しい」
そう言って優奈ちゃんがあたしに差し出したのは…大きなケーキ箱と、何やら紙袋。
チーズケーキ…
思わず受け取ると、優奈ちゃんは花が咲いたように綺麗に笑った。
「受け取ってくれてありがとう。
お世話になりました…これからもよろしくね」
「杏奈、ちょくちょく帰ってくるから寂しくて泣くなよ?」
「バカじゃないの…泣かないから」
そして2人は恋人繋ぎで指を絡めて、寄り添って歩いていったんだ。
「お幸せに」
その時は、その言葉は言えなかったけど。
部屋に戻ってケーキ箱を開けると、大量のチーズケーキと、チョコレートケーキやフルーツケーキ、シュークリームなどたくさん入っていて。
「…こんなにいっぱい1人で食べれないよ」
なんて言いつつ、消費期限は過ぎちゃってたけど数日で完食しちゃったのを覚えてる。