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want to be ...
第9章 さよなら
1限の講義を終え、廊下に出て窓際の桟に肘をついた。
外の景色を眺めながら、深く息を吐く。
すると、後ろから声がした。
「でっかいため息~」
聞き覚えのある声に苦笑いしつつその子のスペースを開け、隣に来て同じく肘をついてまっすぐ遠くを見つめるその子を確認し、腕に顔を突っ伏した。
「でー?どうなの最近。
大好きなセフレさんから連絡は来たの?」
「…、」
面白そうに、あたしの肩を叩きながら聞いてくる隣の子…友達の雫(しずく)をジトッと睨み付ける。
「あははっ!はいはい、進展なしね」
「…、はぁ…」
そう。
お兄ちゃんと悠翔がうちに来てから1週間。
バタバタしてる内にいつのまにか1週間経ってて…
気付いたら、蒼汰さんと最後に会った日から1か月を過ぎてしまっていた。
「はぁ…」
再びため息を吐いて、ふと気付いて向かい側の校舎を見つめる。
向かい側の校舎の廊下を歩く人物を見極め雫に問い掛ける。
「…そういうそっちはどうなの。
あれと、進展あったの」
「…んー、…いやぁ。あたしも相変わらず、
なーんの進展もしてないんだけどね。なーんにも」
やれやれと首を振る雫とあたしの見つめる先にいて、廊下を歩いてる…”あれ”とは。
1人の、若い男。
ここの大学の講師の1人…津田瑞季(つだみずき)。