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want to be ...
第12章 絶望
蒼汰さん専用の引き出しを開け、一番上にある長方形の箱を取り出す。
「はぁ、はぁ…」
どうしよう…どうしようどうしようどうしよう。
すっかり忘れてた…
ポタポタと雫が垂れ、さっきまで体の内側も外側も温かかったのに、体の底から冷え始めてぶるぶると震える。
寒さだけじゃない。
焦りや血の気で…
思わず冷たい床に座り込み、愕然と濡れた手の中にあるモノを見つめる。
ねぇ、どうして…どうして。
どうしてこんな大事な事忘れてたの…
震える手から滑り落ちた箱…妊娠検査薬。
呼吸が荒くなってきて、目から大量の涙が溢れてポタポタと肌に落ちる。
あの時これを買ってから、相変わらず生理はきていない。
飲み続けなきゃいけなかったピルもやめたし、妊娠する確率は100%に近いのに。
なのに…なのにあたしは。
妊娠してる可能性が凄く高いのに、あたしは…
「杏奈…杏奈っ!?」
蒼汰さんが近付いてくる足音。
呼吸がだんだん荒くなる。
あぁ、ダメ…
「杏奈っ!」
「うぅっ…ぁぁあー!」
耐えきれず、大声を上げて泣いてしまった。
あたしに近付いて、バスタオルを体にかけてくれた蒼汰さん。
「いきなりどうし、…!」
蒼汰さんが息を飲んだのが、泣いてても分かった。