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want to be ...
第13章 希望
大学辞めて、働きながら1人で育てるから…
よかったって顔、しないで…
「ちょ、待って待って。杏奈、勘違いしてる」
…勘違い?
してないよ、もしかしたらって思ってた…
ほんの少しだけ。
1%位は、一緒に育てようって言ってくれるって思ってた…
だけど…その1%の希望も打ち砕かれた今…
「うわぁぁぁあ」
あたしは、泣き叫ぶしか出来ない。
泣きすぎて、ただでさえ喘ぎすぎて声が枯れかけだったのに、全く気にせず喉がぶっ壊れる位泣き叫んでるあたし。
もう、このまま…
よからぬ事を考えかけた、その瞬間。
「杏奈!」
「っ!?」
鋭く名前を呼ばれて、驚いて見上げると、頬を両手で包まれ顔を近付けられた。
思わず涙が引っ込んだあたしは、目をぱちぱちしながら蒼汰さんを見つめる。
「もう泣くな、頼むから…。俺の話、聞いて?」
至近距離で真剣な表情でそう言われ、嗚咽を洩らしつつゆっくり頷く。
すると、ホッとした表情になった蒼汰さんは、あたしを抱き上げて妊娠検査薬を持って廊下に出ると、なぜか再びお風呂場へ向かい、検査薬とスマホを脱衣所の棚の上に置いてあたしを抱いたまま湯船に浸かった。